なんでも鑑定団存続の危機?!曜変天目茶碗まがいもの疑惑
番組放送前に「最大の発見!」などと報道されたため、高視聴率13.5%を記録した
12月20日放送テレビ東京系「開運!なんでも鑑定団」。
番組で、古美術鑑定家の中島誠之助氏が『曜変天目に間違いございません』と断言し、番組始まって以来の大発見で2,500万円とされた天目茶碗ですが、
それをまがいものと異を唱える陶芸家や美術館の学芸員が現れ、いま大騒動になっています。
そもそも曜変天目茶碗って?
①釉薬(ゆうやく)
粘土で作った器をそのまま焼いた素焼きでは、耐水性もなく表面は粘土の色でしかありません。
そこで、素焼きした陶器の表面に釉薬といわれる草木の灰や砕いた土石類を水で溶いたものを塗ったのちに本焼きすることで、その釉薬が高温で溶けてガラス状になって表面を覆い、それにより耐久性が増すとともに釉薬に含まれる金属成分が化学変化によって様々な色を付け、より多様な美術性・芸術性を持つようになります。
②曜変天目茶碗
天目茶碗とは、中国浙江省天目山という地域で、鉄を多く含んだ黒色の釉薬で焼かれた黒っぽい焼き物のことで、その天目茶碗の最上級品とされるのが、瑠璃色または虹色の美しく輝く斑紋が特徴の曜変天目茶碗です。
③曜変天目茶碗の価値は?
陶器は美術性や希少性のほかに、所有者の偉人度によっても価値が決まりますが、完全な形で現存する曜変天目茶碗は世界に3碗しかなく、そのすべてが日本国内にて所蔵され国宝に指定されていますが、価格をつけるならば数億円以上と言われています。
問題の茶碗が、番組での説明通りに南宋時代の作で三好長慶所蔵であったなら、たとえ曜変天目でなくとも2,500万円の価値はあると思われますが、
もし本当に曜変天目ならば、その十倍以上の価値はあるはずです。
それなのに、番組では曜変天目としながら鑑定金額が低かったのは、番組になんらかの意図があったのでしょうか。
番組の信頼性
『いい仕事してますねぇ~』の決め台詞でお茶の間の人気者となった中島誠之助氏は、西青山に開いた骨董店で古伊万里を世に広めたことから、
『中島の鑑定によって古伊万里鑑定額の相場が決まる』(ウディペキアより引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/中島誠之助)
そうです。
あくまでも推測ですが、この番組で取り上げるにあたり、事前にこの茶碗の鑑定を曜変天目茶碗の専門家に依頼したでしょう。
そうでなくとも、番組の顔といえる中島氏が太鼓判を押した茶碗が、万が一にもまがいものだったならば、中島氏だけでなく番組への信頼が失われ、『一、十、百・・・』と上がっていく鑑定額も滑稽に見えて、番組の存続自体が危うくなるやもしれません。
骨董に興味もなく、鑑定団をバラエティ番組として見ている記者にはあまり関係はありませんが、骨董が趣味という人たち、なかでも以前番組で鑑定を受け、一喜一憂した人たちには大問題かもしれません。
番組の責任
新たに茶碗の調査がなされて、その結果次第では なんでも鑑定団が見れなくなるのかと心配していたら、
ハフィントンポストが、『曜変天目茶碗の調査、徳島県が中止 所有者から「外部への資料提供を控える」』と報じました。
所有者の「外部への資料提供を控える」意図は不明とのことですが、これで茶碗が曜変天目かどうかの真相は、永遠に藪の中となってしまうのでしょうか。
放送前に各メディアに流した番組内容が疑われているのですから、番組外の第三者機関による鑑定で真贋をはっきりさせ、それを説明する責任があると思います。
ここはひとつ、大人の理由で居なくなった石坂浩二氏の意見を聞きたいところですが、いずれにせよ番組自体がなくならないようにと願うばかりです。