sandabe’s diary

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サイクリストが事故る道路の罠!車道と路側帯の段差

ロードバイクで道路を走行中に落車して救急搬送された不運な話を聞きましたが、実はそこは地元サイクリストの間では「トラップ」として有名だというので、現場でその事故の原因を探ってきました。

ただ、どんな優れた競技選手にもミスは起きるものですし、この事故発生時の状況は不明なので、ここではその方のことは触れません。

 現場は兵庫県篠山市今田町黒石と三田市を結ぶ県道黒石三田線の、JR相野駅を1.1kmほど南(三田方面)へ走った写真の印のところです。

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Google マップ

現場は何の変哲もない田舎道で、まさかそのような危険が潜んでいるようには見えません。
自転車目線で見ても、

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事故現場自転車目線

区画線道路標示(白線)の外側に細い溝ができているだけのようですが、

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路肩と車道の段差

横から見ると、コンクリート製の路側帯とアスファルトの粘弾性によって沈下した車道との境界に、段差ができていることがわかります。

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段差計測写真1

段差は一番大きいところで25mmあり、

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段差計測写真2

溝が広がっているところでは、溝の底から30mmの高低差がありました。

追い抜いていくダンプや大型トラックを避けようとしたり、ライドに疲れて路側帯を走ろうとしたときに、トレッド幅が狭く空気圧の高いロードレーサーのタイヤでは、意図していなかったこの段差にハンドルを取られる危険は十分にあります。
落車したライダーは約2週間入院する怪我を負われたそうですが、道路管理者に事故の責任はないのでしょうか。

事故の責任は?

舗装路面の破損や土石・倒木・工事用機材の放置など、道路の管理瑕疵が原因で被害が生じた場合、国家賠償法により国又は公共団体は被害者に賠償する義務を負います。

国家賠償法第二条
道路、河川その他の公の営造物の設置又は管理に瑕疵があつたために他人に損害を生じたときは、国又は公共団体は、これを賠償する責に任ずる。

この瑕疵の判断となる段差などに定量的な数値はなく、舗装の剝がれによる10cmの穴(ホットスポット)で転倒した自転車がバスに轢かれ死亡した事件でも『通常の注意を払っていれば危険はない』などとして管理瑕疵がないとした判例がある一方、道路管理者が賠償金を支払った管理瑕疵事案は日本全国で年平均4,000件程度もあります。
今回の事故では、路側帯と車道の構造的な違いからできた段差が大きな原因であることから、その責を道路管理者に求めることができるかもしれません。
とはいえ事故が起きてからでは遅いので、道路の管理瑕疵があれば道路を管理する土木事務所に対策を申告するべきです。

また、よく自宅や駐車場などの出入口前の道路上に敷地と道路との段差を解消するために設置された乗り上げブロックや鉄板、プラスチック製ステップなどを見ますが、これは道路法に違反しているだけでなく、物件の設置により歩行者や自転車・バイクの転倒事故が発生した場合は、物件を設置した人に事故の責任が及ぶ場合があります。

路面状況にもっと気を配るべき

走行に支障を及ぼす危険には最大限の注意を払うのは当然ですが、それ以上にサイクリストはもっと路面状況に気を配るべきです。
それは、
【もっと楽にもっと速く走る=最小限のパワーで最大限の速度を出す】
ためには、効率よく発揮したパワーをうまく路面に伝える必要がありますが、それにはタイヤを介して路面からフィードバックされるトラクションなどの情報が非常に重要だからです。
すべてのサイクリストがそこまでのことを要求していないでしようが、走行に危険を及ぼす道路の管理瑕疵部分はこの段差だけでなくいたるところに存在するので、路面状況を把握して的確に対処できる能力を身に付けることは大切でしょう。

このように走行ラインが段差と交叉してしまうときは、軽く車輪を浮かせる基本的なテクニックで安全に乗り越えることができますが、咄嗟にそれができない場合は、

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段差に対する進入角度と、車輪の傾斜角度をできるだけ大きくとることで、段差を乗り越られる可能性が高くなります。

事故現場の路面が補修された

この記事を書きあげていない9月21日に、またサイクリストが犠牲となったと聞き、9月25日に現場へ行ってみると事故現場の路面が補修されていました。

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現場検証の跡もナマナマしく・・・。

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もう少し早く補修されていたら、21日の事故は起こらなかったでしょうね。

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車道側は段差なく補修されていますが

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路側帯側にはこのような部分も。
繰り返しになりますが、道路の管理瑕疵があれば、事故が起こる前に道路を管理する土木事務所に対策を申告してください。