sandabe’s diary

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レイコップとダイソン、UVランプの殺菌効果とは

レイコップの、UVランプ(殺菌灯)を使用した、アレル物質(*1)除去を謳った掃除機が人気のようですね。

*1 アレルギー等の疾病予防を暗示させるためアレルギーやアレルゲンという用語は使えないため、アレル物質という造語を使う。


製品情報 | ふとんクリーナーのレイコップ

 

ダイソンからは11月に、UVランプ(殺菌灯)で除菌した水で加湿する加湿器『ハイジェニック ミスト』発売されるそうです。


加湿器

 

いま日用電化製品は、UVランプ(殺菌灯)による除菌ブームなのでしょうか。

今回は、UVランプ(以下、殺菌灯)の殺菌力を考えます。

 

そもそも殺菌灯とはどういったものでしょう?

殺菌灯とは医療器具などの殺菌に使用されている、細菌・ビールス・イースト・かび・藻類・原生動物・寄生虫類に対して殺菌力を持つ波長域の光線を照射する、蛍光灯型のランプです。

この殺菌灯はおもに6~30Wのものがあり、その殺菌力は菌種、温度、湿度、その他の条件によって異なりますが、殺菌線放射量(放射照度×照射時間)によって決まります。

 

15W殺菌灯(1.5W/ ㎡)を50cmの距離から照射し99%死滅させるのに必要な時間は、大腸菌ブドウ球菌では約45秒ですが、コウジカビでは約50分も必要です。

殺菌効果は単細胞に近い生物ほど有効なのですが、イースト・かび・藻類・原生動物・寄生虫類には長時間の照射が必要なため、実際には細菌・ウイルスの殺菌に使用します。

また、ダニは繊維内に潜り込んでしまうため、殺菌灯を長時間照射しても殺すことはできません。

 

殺菌灯での殺菌力(殺菌線放射量)は、照射時間が同じならば放射照度の強いほうが、放射照度が同じならば照射時間が長いほうが大きくなります。

放射照度は殺菌灯から対象物までの距離の2乗に反比例しますから、殺菌灯からの距離が短いほど短時間で大きな殺菌力が得られます。

 

エアタオルなどによく使われている6Wの殺菌灯の場合、かざした手を100%除菌するのには約10秒の照射が必要とされています。

レイコップに使用されている殺菌灯は6W又は8Wなので、殺菌には同程度の照射時間が必要と思われますが、CMで見る布団を撫でるような動作では、同一箇所への照射時間はとても短くなり、殺菌効果は期待できそうにありません。

布団全体へ「光クリーン」の10秒照射を繰り返すのも、とても現実的ではないと思います。

 

では、ハイジェニック ミストではどうでしょう。

水を霧状にして吹きだす装置では、レジオネラ菌の不安があります。

感染によりレジオネラ肺炎やポンティアック熱を起こすレジオネラ菌は、水中や湿った土壌中などの環境中に広く分布している細菌で、20~50℃で繁殖することから、公衆浴場や冷却塔水、カーエアコンのフィルターからも感染が報告されています。

当然、手入れを怠った加湿器の水タンクもレジオネラ菌などの温床となって、ミストとともに雑菌をばら撒く危険があります。

 

ハイジェニック ミストでは、殺菌灯によりレジオネラ菌などの雑菌を除菌すると謳われています。

水を殺菌する場合は、ゆっくり流れる水に長時間照射する構造が良いとされますが、ハイジェニック ミストでは「給水タンクの水へ3分間照射」とあるので、タンク内の水への殺菌効果は期待できそうです。

ただし、殺菌された水は殺菌効果を持たないため、殺菌灯で除菌できない、タンクからミスト吹き出し口までの間の水が流れる部分で、雑菌が繁殖する可能性はあります。

しかし、なにも対策を施していない加湿器に比べると、格段に安全性が高くなったと言えます。

 

殺菌灯は簡便に殺菌が出来て良いこと尽くめのようですが、殺菌灯を直視すると結膜炎や角膜炎を、皮膚は日焼けや皮膚がん罹患の危険がありますし、物質の退色・変色・劣化、植物では枯れも引き起こすので、取扱いには充分な注意が必要です。

※参考

  • Academy Coner「紫外線による殺菌」
  • Panasonic法人向けお客様サポート「殺菌灯」