エボラ出血熱世界拡散の恐怖
WHOが『国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態』を宣言するなか、コンゴ民主共和国で発生したエボラ出血熱が、世界に広がりつつあります。
写真出典:wikipedia
エボラ出血熱は、最も危険なウイルスの一つであるエボラウイルスを病原体とする急性ウイルス性感染症で、有効なワクチンが存在せず、重篤な症状と高い致死率をもつ伝染病です。
エボラ出血熱への感染は、患者(宿主)の血液・体液(母乳や精液)・分泌物・排泄物・唾液に含まれるエボラウイルスが、傷口や粘膜から侵入することで起こりますが、患者の発症時しか感染はせず、また空気感染もないとされています。
エボラ出血熱に感染すると、通常1週間程度(最短2日~最長21日)の潜伏期間を経て、インフルエンザに似た症状(発熱・悪寒・頭痛・筋肉痛・食欲不振)が突発的に出現します。
エボラウイルスが細胞内に入り込み、作り出した細胞を破壊するエボラウイルス糖タンパク質が血管内の細胞に付着することで、血管透過性が高まり血管壁から血液が流れだすために、嘔吐や下痢、低血圧といったより深刻な症状を呈し、多臓器不全とショック症状により死亡に至ります。
当初90%と報道された死亡率は、一切の治療を受けない場合の数値で、対処療法を行った場合の死亡率は約60%といわれており、病名にあるような激しい出血を起こす患者は20%程度とされています。
今回、西アフリカで感染者が爆発的に増えた原因として、①医療に対する知識が乏しく防疫体制が整っていない環境であったこと、②葬儀で家族が遺体を抱きしめる慣わしがあったこと、などがあげられており、感染防止対策が十分に取られ医療設備が充実している先進国では流行のリスクは無いといわれていますが、果たしてそうでしょうか。
エボラウイルスは宿主の体外でも数日間は生存可能なため、患者の咳やくしゃみによる飛沫感染や、患者が咳などに含まれるウイルスが付着した手でドアノブ、エレベーターの押しボタン、交通機関のつり革など様々な物に触れ、その物を別の人が触れることで感染する接触感染も否定できません。
人が目や鼻を触る動作を無意識で繰り返えすうちに、指先に付着したウイルスを粘膜に運んでしまい、感染が起こるのです。
米アリゾナ大学が行った80人での接触感染の実験では、一人の手にウイルスを付着させておくだけで、4時間後にはオフィス内で皆が触るものの表面の半分以上と、約半数の社員の手からウイルスが検出されたそうです。
そこで一番現実的な感染防御策は、同じ伝播様式の感冒・インフルエンザ・結核の予防と同様に手洗いとマスクがですが、蛇口のハンドルをきれいに洗ってから水を止めたり、使用後マスクを破棄する際に表部分に触れないようにすることも重要です。
また、感染地で防護服を着用している医療従事者にも感染が広がっているのは、ハマダラ蚊が媒介しているとみるむきもあります。
エボラ出血熱は潜伏期間が長いため、感染に気づかず渡航した先で発症する患者が、今後も発生する可能性があります。
このままウイルスの拡散が続くたとしたら、日本は、いや世界はそれに対抗しうるのでしょうか。
ここにきて、富士フイルムグループの富山化学工業株式会社が開発した抗インフルエンザウイルス薬「アビガン錠」を投与されたフランス人患者が治癒し、日本政府が世界各国から協力要請を受けていると報じられている。
エボラ出血熱の特効薬として、多くの人を救えることを祈るばかりです。
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日本では「感染の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症予防法)」で、痘瘡(天然痘)・ペストなどとともに一類感染症に指定されており、患者である外国人は出入国管理法により入国を拒否される。 また、都道府県知事は以下の措置が出来る。①健康診断の勧告。感染が疑われる正当な理由があるのに勧告に従わない場合には、健康診断を行うことが出来る②食品関係や接客業への就業制限③特定感染症指定医療機関または第一感染症指定医療機関への入院の勧告。従わないときは、入院させることができる。④消毒⑤病原体に汚染され、または汚染された疑いがある a 物件の移動の制限・禁止、消毒、廃棄 b 死体の移動の制限・禁止、火葬、埋葬 c 水の使用・給水の制限・禁止 d 建物への立ち入りの制限・禁止・封鎖⑥交通の制限・遮断※※※※※※ WHOはエボラ出血熱の呼称を『エボラウイルス病』としていますが、国内で使われているエボラ出血熱を使用しました。医師でない記者が書いたこの記事は、医学的助言をするものではありません。