東京・燕湯の湯はほんとうに熱いのか?
東京・上野の御徒町駅近くにあり、早朝6時から熱い湯に入れることで多くの銭湯ファンも訪れる燕湯。
ここは東京の銭湯で唯一、建物が登録有形文化財に指定されています。
入り口横にお湯が“沸いた”ことを表す『わ』と書かれた木札がかかっていますが、閉店時には湯を“抜いた”ことを表す『ぬ』の木札がかけられます。
今から6年ほど前に記者が東京にいた最初の頃は近所だったのでちょくちょく利用していましたが、熱い湯好きの記者でもジャグジー風呂には我慢してなんとかつかれるものの、すぐに湯から飛び出すほどの温度でした。
おまけにその頃は「水でうめるな」という注意書きがあったために水を足すこともできず、ほんとうに烏の行水でした。
そんな熱い湯に、背中一面に刺青を入れたオニイチャンが記者の目を気にして顔を真っ赤にしながら首までつかり、任侠の心意気を見せてくれるという微笑ましい出来事もありました。
以前は足の指先が痺れるほど“熱かった”燕湯ですが、最近では湯が以前のように熱くはなくなったという話をよく聞くようになりました。
そもそも、熱いというのが主観的であり、42度でも熱いと感じる人や、46度でも全然平気な仙人みたいな人もいるでしょう。
ネットで見ても『熱い』とか『普通』とか情報が一致しないので、燕湯へ行って湯の温度を検証してきました。
残念ながら、熱かったころの温度は実際に計っていないため不明です。
《汚れている方お断り》
燕湯は早朝から営業していることや場所柄からか、ネットカフェなどで寝泊まりしているお客さんもあるらしく、
入り口にはこのような表示があります。
『汚れている方お断りする事があります』
どれくらいの汚れで断られるのでしょう・・・。
いつもピカピカに磨かれているあがり口から
暖簾をくぐると
他にも様々な決まりが箇条書きされています。
湯に入る前のかけ湯も、湯の中で身体を洗わないというのも常識ではありますが、
○湯に入るまえに身体を洗う
○湯の中で身体を洗ったりこすったりしない
と、少し過剰ぎみな注意書きもあります。
ほかにも箇条書で注意事項がたくさんあるので、初めて訪れた方は戸惑うかもしれません。
その中でも
○湯船のふちに座らない
という注意書きは、意外と狭い湯船の縁に座られると入浴の邪魔という理由からでしょうが、足湯のよう下腿だけを熱い湯で温めることができないため、記者にとっては大きなマイナスポイントです。
《温度を実測》
脱衣場から先の写真はありませんが、湯の温度を調べてみました。
男湯のジャグジー風呂に設置されている温度計は【44.6度】あたりを指しています。
記者の G-SHOCKも44.6度と表示しましたが、このくらいの温度なら飛び出すほどの熱さではありません。
隣の湯船はG-SHOCKでは44.5度でほぼ同じ温度でしたが、ジャグジーでは見えなかっただけなのか、こちらの湯船は湯面に垢や体毛がたくさん浮かんでいて驚きました。
狭い湯船に多くのお客が入るのですから当然といえば当然かもしれませんが、湯から上がってからシャワーでもう一度身体を洗い流しました。
番台のおばさんに湯の温度について話を訊くと、
『昔は設定を50度で沸かしていたが、最近はそんなに熱くはできないので、早朝は48度、昼間は46度に設定している。しかし、入浴されるお客の数や湯殿の室温によって幾分湯の温度は下がる』
とのことでした。
ちょうど記者が訪れたときは46度の設定ということだったので、設定より1.4度ばかり低くなっていたようです。
とうことは、早朝は46.6度位のお湯に入れるということでしょうか。
《こどもは注意が必要》
小さな子供は大人に比べ、身体の容積に対して表面積が大きいため外温の影響を大きく受けるとともに、皮膚の厚さが薄いので、熱い湯に入浴する際は急なのぼせ・脱水症状や火傷に注意が必要です。
《噂話》
燕湯について近所で訊いてみると、
「熱すぎて入れない」という苦情や、熱い湯に我慢して入ったお客が体調を崩して救急車が呼ばれたことも一度や二度ではなく、またボイラーを新型に入れ替えることで湯温の微調整が可能になったので、昔の飛び出すような熱い湯ではなくなった。
という話でした。
なかには「火傷したと訴えられたこともある」という物騒な話もありましたが、事実確認をしていないので本当かどうかは分からないものの、あながち嘘でもなさそうだという印象です。
大抵の人は熱い湯が目当てで訪れるのでしょうから、入り口に
【○度の湯】
とか
【熱い湯がダメな方はご遠慮ください】
という表示をすればトラブルを回避できるのになぁ。
次は早朝に入って足先が痺れるかどうかを検証しようと思います。
※2017年2月11日に新たな検証記事を掲載しました